TMR飼養:栄養管理面の留意点2.TMR調製作業のポイント
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飼料給与方法
2007.03.07
- 現状把握、事前情報をもとに設計改善(修正)作業へと移るわけですが、その牛群が抱えている問題点を認識しながら実施することが肝要です。
①群分け:群管理の重要性
- TMRは、1群1頭とみなして設計されるため、群編成いかんによってTMRの栄養濃度は大きく変化します。
- 牛群平均9,000kg以上の高泌乳群では1群管理が比較的スムーズに実施できますが、個体間のバラツキが大きい場合や、多頭数管理の場合は複数の群による管理、TMR設計を勧めます。(表1参照)
- その他、群分け時の検討に必要な項目としては、群頭数、BCS、泌乳日数、平均乳量(FCM)、繁殖サイクル、給飼作業性などがあり、その牛群、飼養状況に応じて調整すべき内容です。
②養分濃度の設定
- 該当牛群に対するTMR設計する場合、その平均乳量にリードファクターを加味して設定乳量を決めます。平均乳量もFCMを用いた方が良いでしょう。
*リードファクター係数=(平均乳量+標準偏差)/平均乳量
その他、簡易方法として;1群では平均乳量×1.3、2群以上では、平均乳量×1.1~1.2とする場合が考えられる。
- 次に重要なポイントは、乾物摂取量の予測です。概ね設定乳量に要求される乾物量をカバーすべく組み立てますが、この場合は、事前の牛群状態と設計後のTMR採食状況と合わせて調整図ることが肝要です。
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乾物量と供給養分が決定されると、そのTMRの各養分濃度が設定されるわけですが、ここで、TMRは1種類の飼料として養分濃度(成分値)を重視して調整していきます。養分濃度設定後は、常に牛群モニターを実施してTMR内容にフィードバックさせることが肝要です。
③TMRの水分(乾物)
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TMRの乾物摂取量に影響を与える一つの要素が水分含量です。図1は、TMR採食量と水分含量との関係を示したものですが、水分50%以上になると総採食量はほとんど増加せず、乾物摂取量が急激に減少してくことが分かります。水分含量は重要な意味を持っていることを理解して下さい。
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実践現場においては、高水分サイレージしかない、コスト等で水分調整用途の副産物や乾草が入手し難い、サイレージ使用量を低下させるとセンイ濃度などバランス悪化する、というような状況が複合してTMR水分が高めとなるケースが発生していると推測されます。このような場合、サイレージ発酵品質が良好であれば採食性確保できますが、発酵品質不良の時はそのサイレージ使用量を低減させて購入飼料(粗飼料源、乾草類)の活用を図るべきでしょう。
④TMRのパーティクルサイズ
- TMRの乾物摂取量に影響を与えるとともに、ルーメン機能(VFA産生、反芻など)にも影響を与える要素が、TMRの粒度分布(パーティクルサイズ)です。
- 設計段階で、ADFやNDF濃度、粗飼料比率が充分であったとしても、TMRそのものが細かすぎてはいけません。表2に、サイレージおよびTMRのパーティクルサイズのガイドラインを示しましたので参考にして下さい。
TMR飼養:栄養管理面の留意点2.TMR調製作業のポイント