『名人』を用いた黒毛和種肥育給与体系

和種

   肥育期間を通じて、『名人』は給与量を把握しておくこと、稲ワラは飽食が基本です。『名人』の給与量を把握しておくと、異常牛の発見が容易になり、より良い管理ができます。

(肥育月齢1~3ヶ月まで)
1 『名人』の給与
     ① 粗飼料で“腹づくり”を行ない、無駄脂を落とす時期です。この間の『名人』は、肥育月齢6ヶ月 
         以降の飽食牛の残飼などが使用可能です。
     ② 給与方法は、最初にエサ箱に稲ワラをまんべんなく給与し、その上に『名人』をふりかけるよう 
         に給与します。
2 粗飼料の給与
     ① 乾草は細断したチモシーが理想です。
     ② 乾草は導入後2~3ヶ月、生後12ヶ月齢まで給与します。
     ③ 導入した子牛の月齢が経過している場合(生後10ヶ月以上)、もしくは増体系でサシの入りに
          くい血統の場合の乾草給与は、肥育月齢2ヶ月(生後11ヶ月齢)まで飽食、肥育月齢3ヶ月
         (生後12ヶ月齢)で1kg程度に制限給与するなどし、ビタミンを抜くようにします。
     ④ 稲ワラについても、細断したものが理想です。

(肥育月齢4~6ヶ月まで)
1 『名人』の給与
     ① 『名人』の給与量が急激に多くなってきますので、軟便に注意を払います。
     ② 『名人』給与後は、牛をよく観察し、食い負けがあるときは1日の給与回数を増やすなどし、群
        内のばらつきが少なくなるようにします。
2 粗飼料の給与
     ① 粗飼料の給与は、1~3ヶ月と同様、細断した稲ワラを『名人』と混合給与します。

(肥育月齢7~12ヶ月)
1 『名人』の給与
     ① 『名人』を飽食給与にします。飽食給与とは、給与時に少量のエサが残っている状態のことで
         す。
     ② 『名人』と稲ワラは分離給与にします。この時期は『名人』をできるだけ多く食べさせ、サシを入
         れていく重要な時期です。
2 粗飼料の給与
     ① 稲ワラは『名人』と分離して飽食給与とします。
     ② 『名人』と稲ワラが混合すると、結果として『名人』の採食量が少なくなりますので、飼槽に仕切
         りを設けるなどして、混合しないようにします。

(肥育月齢13ヶ月以降)
1 『名人』の給与
     ① ビタミンA欠乏が発生しやすい時期です。
     ② ビタミンA欠乏は、脚の腫れなどで判断できますが、基本的には『名人』の採食量が落ちてきま
         すので、毎日計量給与することが重要となります。
2 粗飼料の給与
     ① 稲ワラの給与量が不足すると、食い止まりが起こりやすくなるので、つど飼槽を確認し、不足し
         ないようにします。